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大阪落語への招待(最終回)

 7月13日、「大阪落語への招待」最終回の授業に行ってきました。

 授業といっても今回は特にテーマはなし。強いていうなら「噺家の最後の舞台」でしょうか。

 まず、いつものように春之輔さんが受講者の書いたコミュニケーションカードを読んでいきます。もう今日が最後やからと、いつもより長めに時間をとって。一般受講者の私は大学の授業のシステムをよく知りませんが、このコミュニケーションカードっていいものです。一方通行の授業にならなくて、参加型授業とでもいいましょうか。

 春之輔さんは、落語に親しみのない若い受講者(大阪市立大学の学生さん)が、回数を追うごとに落語の世界とそこにある情を理解してくれている様子を肌で感じて、カードを読むことがとっても楽しそうです。

 いまの若い人たちに落語の成り立ちやそこにある情を話して、果たしてどれぐらいの人が理解できるのかなぁと思っていましたが(途中、退屈するんじゃないかなって)、落語に興味のある一般受講者よりほとんど興味のなかった学生さんのほうが、もしかしたらたくさん吸収して落語の世界に引き込まれていったのではないかと、これまで授業をうけてきてそんなふうに感じました。

 さて、本日のテーマかな?二代目春団治さんのお話しに移ります。

 初代春団治は破天荒で、ハチャメチャなところが逆に庶民に愛されて、いまでもお芝居で演じられるぐらい有名な噺家さんですが、では二代目は? 私はよく知りません‥。

 二代目春団治は、上方落語の爆笑王といわれた(?)ぐらい、とにかくおもしろい落語をする噺家さんだったそうです。その二代目春団治が亡くなったとき、「これで上方落語は終わった」と谷崎潤一郎が言ったとか。

 春之輔さんが珍しいものを見せてくださいました。それは二代目春団治の落語会の古いポスター。何が珍しいかというと、そのポスターを描いたのはなんと手塚治虫さんで、手塚さんが絵を描いて初めてお金をもらったのがこのポスターなのだそうです。原版は手塚治虫記念館にあって、関係者に頼んでコピーしたものを持ってきてくださいました。

 ポスターに描かれている二代目春団治は、ちょっとぽっちゃりめで笑かしてくれそうなお顔をされています。初代とも三代目とも違う感じ。同じ名前を名乗っていても、それぞれ個性が違うんですね。

 その二代目春団治がしばらく病に伏せていて、昭和28年に全快祝いの特別興行を10日間昼夜2回行ったときのこと、特別興行ということで冬の寒いなか劇場まで人力車で往復して体調を悪くしてしまいます。あと一日、千秋楽の日、かなりしんどかったのでしょうが休むわけにはいきません。

 千秋楽の朝、そんなしんどそうな夫を気遣って「お父さん、今日は『酒かす』のような軽い噺で逃げといたら‥?」と二代目春団治の妻がいうと「しんどいことはやれん‥」といって出かけたそうです。

 舞台にあがると贔屓から声がかかります。「祝いのし!」 特別興行ですからリクエスト寄席のような形をとっていて、リクエストがあればやはりやらないわけにはいきません。『祝いのし』という落語は、ストーリー性のない難しい落語で、25分ぐらいある決して軽い噺ではないのだそうです。

 途中倒れそうになりながら見台にしがみつく二代目、見ていた妻は気が気ではありません。お客さんがいる前で駆け寄ることはできない。そんな無様なことはできません。舞台の袖から「緞帳!緞帳!」と叫ぶ妻、緞帳が半分下りたところでがまんできずに駆け寄り二代目を抱きしめます。

 二代目春団治は、その後回復することなく、この舞台を最後に亡くなります。

 噺家の最後の舞台。噺家によって思いはさまざまでしょう。舞台の上で死ねたら本望と思う人、余力を残して舞台を降りてしまう人、どちらが良いかはわからないけれど、私だったら、少々舌がもつれても、動きが鈍くなっていても、好きな噺家さんが舞台にあがってきてくれたらそれだけでうれしいかなぁ、授業の最後にそんなことを考えました。

 授業はこれで終わり、次回は修了式?で一般受講者も修了証のようなものをいただけるとか。どんなのかなぁ~。

 大学で行う落語の授業「大阪落語への招待」は初の試みだそうですが、今後毎年このような授業が行われれば、もっともっと大阪の文化が見直されて、「情」のある若い人が増えていくのではないかなって思います!

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