« 大阪落語への招待(6)寄席囃子 | トップページ | 大阪落語への招待(8)落語とオペラ・歌舞伎 »

大阪落語への招待(7)親子の情愛

 6月8日、「大阪落語への招待」7回目の授業に行ってきました。

 この日のテーマは「親と子の情愛」、講師はこの授業で初登壇の桂梅団治さんです。梅団治さんは春団治師匠のお弟子さんですが、梅団治は代々春団治の兄弟子の名だそうです。立派な名跡なんですね。

 梅団治さんは子どもに好かれそうな愛嬌のある顔をされています。だからなのか、親子の噺を得意とされているようで、だから今回のテーマ「親と子の情愛」の講師に選ばれたんでしょうねとご自身でおっしゃっていました。

 落語に出てくる親子はほとんどが父と子で、母と子の噺は非常に少ないそうです。父と子の会話に母が登場する場合があっても、母と子が直接会話をする場面は少なくて、多くは父と母、つまり夫婦の会話になるそうです。そういうことは気にしていないとわからないことかもしれませんね。

 落語に出てくる子どもは成人している場合もあって、ただその場合は真面目な成人した息子は落語になりにくいので、アホだったり間抜けだったり、飲む打つ買うの三陀羅煩悩(さんだらぼんのう)な息子だったりするようです。そんな息子が登場する噺を梅団治さんが列挙してくださいます。

●親子茶屋
 飲む打つ買うの「買う」の噺。子どもがお茶屋に通う、実は父もお茶屋に通っているという噺。

●親子酒
 飲む打つ買うの「飲む」の噺。親子ともども大酒飲み。

●崇徳院(すとくいん)
 純粋な息子の純愛物語。

●千両みかん
 若旦那が恋患いをし、夏に「みかんが食べたい」という物語。

●宇治の柴舟(うじのしばふね)
 絵に描いてある女性に惚れてしまう息子。その息子が死にかけ、父が助けようとする噺。

●たちぎれ線香
 純粋な息子がお茶屋の女性と深い仲になり、息子を蔵に閉じ込めてしまう。笑いだけでなく涙を誘う人情もの。

 さて、小さな子どもの場合ですが、落語に登場する子どもは無邪気であって、大人をやりこめようという策略をもったような子どもは出てこない、子どもが大人を救う、子どもに教えられる噺が多いとのこと。「子は鎹(かすがい)」などがその例で、子どもの一言ひとことが温かく、周りの大人たちも温かいんですね。

 そんな無邪気な子どもが出てくる「佐々木裁き」を実演してくださいました。25分間の熱演で、教室は一気に寄席ムードに!

 一月ほど前に「つるべ、らくごのお稽古」で鶴瓶さんのお弟子さん、瓶生さんの「佐々木裁き」を聴いたばかりでしたが、演者が違うとまた新鮮で、ストーリーは分かっていてもやっぱり笑ってしまうんですね。落語って何度同じネタを聴いても「もうこれ知ってるわ‥」とならないところが不思議です。

 梅団治さんはこの日別のところで落語会があるとのことで、「佐々木裁き」を終えて春之輔さんにバトンタッチです。

 「落語には下品な言葉づかいをする子どもは出てこない」と補足される春之輔さん。今後作られる創作落語もぜひそのようであってほしいですね。

 さて、いつものように受講生が書いたコミュニケーションカードを読んでいかれます。

 「出囃子は途中で変更可能か?誰が決めるのか?」という質問に対しての答えは、一度決まった出囃子も途中で変えたいと思えば可能とのこと。誰が決めるのかは、三味線の人が「アンタこれにしたらどうや」と言ってくれて決めることが多いんだそうです。

 前回登場した弟子入り間もないユウイチくんが上手に締太鼓をたたいていたので感心したと書かれていたことに対して、「言うとくけどな、俺はいっぺんも教えてへんよ」と春之輔さん、兄弟子や仲間うちが教えてくれるんやとうれしそうに話されます。落語の世界では一門でなくても稽古をつけてもらったりして、他の師匠や兄弟子にも面倒をみてもらいながら成長していくんですね。まさに「情」の世界です。

 そんな大阪落語の情につながるような、大阪の人間の豊かさを感じるこんな話をしてくださいました。

 お金持ちの社長のお話です。ある日春之輔さんが、夫婦二人で営むお寿司屋さんに入ったときのこと、その社長がお客さんとして座っていました。ちょうど別の客が帰るところで、店の奥さんがレジに立っていてカウンターが片付いていません。春之輔さんが入ってくるのを見たその社長は、先の客が使った皿やゆのみを片付け始めました。「社長、何してまんの、そんなんせんでよろしいやん」と春之輔さんが言うと、「ちょっとでもな、勘定やすしてもらおう思ってやってんねん」と言ったんだそうです。

 しゃれてますよね~。お店の人にもお客さんにも気を遣わせないよう配慮しながら、ごく自然に片付けをする社長さん、その人は桑名正博さんのお父様ですって。

 授業の回数を追うにつれ、春之輔さんが言いたい「情」ということがわかってきて、落語やその周辺にあるものがどんどん好きになっていくようです。

« 大阪落語への招待(6)寄席囃子 | トップページ | 大阪落語への招待(8)落語とオペラ・歌舞伎 »

大阪落語への招待」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 大阪落語への招待(6)寄席囃子 | トップページ | 大阪落語への招待(8)落語とオペラ・歌舞伎 »

プロフィールと連絡先

フォト

おしごとページ

無料ブログはココログ
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想